サイディング外壁は、見た目を綺麗にするだけなら塗料を塗れば仕上がります。
ただ、私がサイディングを見るときは、表面だけでは判断していません。
難付着サイディングなのか。水をどれくらい含んでいるのか。目地側の小口はどうなっているのか。反りは出ていないか。1回目の下塗りをどれくらい吸い込むのか。
同じサイディングでも状態はかなり違います。
藤原ペイントでは、実際のサイディングを見て、測って、触ってから下塗りや補修方法を決めています。
対応エリア:兵庫県南西部(たつの市北部を除く・相生市・赤穂市・太子町・上郡町・佐用町)
目次
サイディングは綺麗に見えても劣化していることがある
外壁塗装の目的は、単に色を整えることではありません。
サイディング表面の塗膜は、紫外線や雨からボードそのものを守っています。
塗膜が劣化して水を吸いやすくなると、問題は表面だけではなくなります。サイディング自体が水分を含み、目地側の小口や傷んでいる部分から劣化が進んでいることがあります。
難しいのは、見た目がまだ綺麗なサイディングです。
特に高耐候の表面処理がされたサイディングは、築年数が経っていてもチョーキングがほとんど出ていないことがあります。
「まだ綺麗だから大丈夫」と外観だけで判断するのではなく、何が使われているのか、表面がどうなっているのか、水分をどのくらい含んでいるのかまで見ます。
難付着サイディングは見た目だけでは判断できない
2000年代以降、高耐候・低汚染を目的として、無機コート・フッ素コート・光触媒コートなどの表面処理がされたサイディングが増えました。
汚れにくく色褪せしにくいのは良いところですが、塗り替える側から見ると注意が必要です。
表面処理が残っているサイディングでは、一般的な下塗り材では十分な付着性を確保しにくいものがあります。
築10年を過ぎているのにチョーキングがほとんど出ていない。見た目もまだ綺麗。こういうサイディングほど、私は下塗りを気にします。

難付着サイディングは1つの特徴だけで決めない
現場では、築年数、チョーキングの出方、サイディングの厚み、表面の状態、既存の仕上げなどを見ます。
表面をラッカーシンナーで確認することもあります。
ただし、「築○年だから難付着」「厚みが○mmだから難付着」というように、1つの条件だけで決めるものではありません。
外から見ただけでは分かりにくいサイディングもあります。
少し前まで藤原ペイントでも、難付着サイディングと判断した場合に難付着対応のシーラーを使い分けていました。
今は施工方法を変えています。
サイディングの1回目に水性パーフェクトシーラーを塗る理由
現在の藤原ペイントでは、難付着かどうかだけで分けず、サイディング外壁なら1回目の下塗りに水性パーフェクトシーラーを塗っています。
理由は密着性だけではありません。
私が重視しているのは、浸透性と含浸補強性です。
水性パーフェクトシーラーは、日本ペイントが各種サイディングボードへの適用、高い浸透性と含浸補強性能、高い付着力を示している下塗り材です。無機や親水表面処理がされた高意匠サイディングにも対応しています。

サイディングは表面だけ見れば綺麗でも、実際に下塗りをすると予想以上に吸い込むことがあります。
そんな外壁に対して、表面に塗膜を作ればそれで終わりとは考えていません。
難付着かどうかを見ることも大事ですが、それと同時に、これから塗るサイディング自体がどのくらい弱っているのかを見る。
そのため今は、サイディングの1回目に水性パーフェクトシーラーを使っています。
サイディングの状態で2回目・3回目の下塗りを変える
1回目に水性パーフェクトシーラーを塗ったら、全部のお家を同じ工程で進めるわけではありません。
ここから実際の吸い込みと表面を見ます。
表面は荒れていないのに吸い込みが激しい場合
見た目ではそれほど荒れていない。でも水性パーフェクトシーラーをかなり吸い込む。
私はこういう状態なら、サイディングボード自体が弱っていると判断します。
藤原ペイントでは、含浸補強を優先して水性パーフェクトシーラーをもう1回塗ります。
1回塗ったから下塗り終了ではありません。
実際に塗って、乾燥させて、吸い込みが止まっているかを見ます。
吸い込みは少ないのに表面が荒れている場合
反対に、吸い込みはそれほど激しくないのに、表面が荒れているサイディングもあります。
この場合は同じシーラーを重ねるのではなく、パーフェクトサーフを使って表面を整えます。
パーフェクトサーフは窯業系サイディングボードの改修用下塗材です。きめが細かく、上塗りの吸い込みを抑えて仕上がりを整える役割があります。
シーラーとサーフは、どちらが上という話ではありません。
今のサイディングに何が必要なのかで使い分けます。
吸い込みも激しく、表面も荒れている場合
一番工程が増えるのは、吸い込みも激しく、表面も荒れているサイディングです。
こういう場合、藤原ペイントでは、
水性パーフェクトシーラー → 水性パーフェクトシーラー → パーフェクトサーフ
と、下塗りだけで3工程になることがあります。
その上から中塗り、上塗りをすれば合計5回塗りです。
最初から5回塗ると決めているわけではありません。実際のサイディングを見て、必要になった結果が5回塗りです。
逆に3回塗りで十分な状態なら、必要のない工程を増やすこともしません。
親水性・高耐候サイディングも塗り替え時の判断が重要
親水性サイディングは、表面に薄い水膜を作り、雨と一緒に汚れを流れやすくする仕組みを持つものがあります。
ケイミューの親水系・光触媒系サイディング、ニチハのマイクロガードやプラチナコートなど、住宅にはさまざまな高耐候サイディングが使われています。
こうしたサイディングは、新築時には汚れにくく色も長持ちします。
ただ、塗り替える側からすると、その表面処理がどの程度残っているかが重要です。
「高耐候だからまだ塗らなくていい」「チョーキングがないから大丈夫」と1つの症状だけで決めず、表面の状態を確認して判断します。

サイディングの含水率は表面だけ測っても分からない
サイディングの調査で、私がかなり気にしているのが水分です。
見た目だけでは分からないので、水分計を使います。
しかも、外壁の真ん中を1か所測って終わりではありません。
サイディング表面と、シーリング目地側の小口では数値がかなり違うことがあります。
下の2枚は、藤原ペイントが実際のサイディングを測定したときの写真です。
中央部分は14%でした。

ところが、同じサイディングでも切れ目側を測ると46%ありました。

同じ外壁でも、測る場所を少し変えるだけでこれだけ違うことがあります。
これはこの1軒だけの話ではありません。
塗装のことを25年以上しっかり研究している外壁塗装の専門家として、これまでサイディングを何度も測ってきましたが、私が現場で測ると、表面は30%前後でも、シーリング目地側の小口では45〜55%くらい出ることが多くあります。
だから私は小口をかなり見ます。
浴室がある位置の外壁で数値が高いこともある
もう1つ、現場を測っていて気になるのが浴室のある位置です。
室内から浴室の壁を測るという意味ではありません。
浴室がある場所にあたるサイディングを、建物の外側から測ります。
ここで45〜55%くらいの数値が出ることがあります。
私は長年現場を測ってきた経験から、浴室側から壁内部へ回る湿気や水分の影響もあると見ています。
外壁は雨だけを見ていればいいわけではありません。
同じ家、同じサイディングでも、場所によって水分量が違う。それを実際に測ってから塗装できる状態なのかを判断しています。
サイディングの反りは水分と一緒に見る
サイディングでよく相談されるのが反りです。
サイディングは水分を吸ったり乾燥したりすることで寸法が動きます。これを繰り返すうちに反りが出てくることがあります。
ただ私は、反っているサイディングを見たからといって、全部すぐにビスで押さえればいいとは思っていません。
色々な物には、元の状態へ戻ろうとする力があります。
私はサイディングボードにも、その力が残っている場合があると見ています。
水を吸い続けている状態を止める。目地や小口から水が入りにくい状態にする。そのうえで塗装してボードへの吸水を抑える。
そうすると、時間をかけて反りが少しずつマシになることがあります。
実際に藤原ペイントで施工した住宅でも、施工時には反っていたサイディングが、1年点検でかなり戻っていたことがあります。
もちろん、すべての反りが戻ると言っているわけではありません。
反りが酷く、このままでは難しいと私が判断した場合はビスで固定します。
ただ、「何mm反っていたら必ずビス」という数字だけでは決めていません。
反り方、サイディングの硬さ、水分の状態、傷み方を実際に見て判断します。
軽い反りまで何でもビスで押さえるのではなく、水分が入る原因を止めたあとにどうなるかまで考えて施工しています。
目地小口からの吸水を抑えるためシーリングを先打ちする
藤原ペイントがサイディングのシーリングを先打ちする理由は、シーリング材そのものを長持ちさせるためだけではありません。
サイディングの小口を守る意味もあります。
先ほどの実測写真でも、中央14%に対して切れ目側は46%ありました。
普段の調査でも、表面30%前後に対して目地側の小口が45〜55%くらいになることがあります。
私は、この小口からの吸水をできるだけ抑えることが大事だと考えています。
そのため藤原ペイントでは、先にシーリングを施工してから外壁を塗装します。
シーリングを先に打って、その上から下塗り・中塗り・上塗りをすることで、目地まわりと小口まで塗膜で覆います。
後打ちの場合は、塗装が終わってからシーリングを施工します。
次のシーリング工事で既存材を撤去するときには、カッターの刃をサイディングの小口付近へ入れることになります。
そこで小口に傷を作れば、その部分を弱くしてしまいます。
含水率が高くなりやすい場所だからこそ、私はできるだけ傷を付けたくありません。
反りをこれ以上進行させないためにも、小口からの吸水をできるだけ抑える。
藤原ペイントがサイディングでシーリングを先打ちする理由の1つです。
塗装するか張り替えるかは年数だけで決めない
「このサイディングは築何年だから張り替えですか?」と聞かれることがあります。
私は年数だけでは決めません。
同じ年数でも状態は全然違います。
日当たり、雨の当たり方、目地の状態、建物内部からの湿気、これまでのメンテナンスによって変わります。
だから水分を測り、実際に触ります。
藤原ペイントの現場では、含水率が70%以上あり、触るとサイディングが少しふわふわしているような状態を見ることがあります。
ここまで水分を含み、ボード自体が弱っている場合は、上から塗料を塗って終わりにはしません。
私はその状態なら、塗装ではなく張り替えを考えます。
ただし、「70%を超えたらすべて張り替え」という意味ではありません。
数値だけではなく、触ったときの硬さ、反り、浮き、ボードの傷み方まで合わせて判断します。
さらに傷みが進んでいる住宅では、サイディングを剥がすと、その下の木まで傷んでいることがあります。
そこまで傷んでいれば、新しいサイディングを上から張って隠すのではなく、傷んだ木下地を直してから新しいサイディングを張ります。
塗れる状態なら塗る。塗装では直せない状態なら、無理に塗らない。
サイディング外壁では、この判断の方が塗料選びより先だと思っています。
高耐候サイディングでも塗装不要とは限らない
高耐候サイディングは、昔のサイディングに比べて表面の耐候性がかなり高くなっています。
ただ、「高耐候だから何もしなくていい」という意味ではありません。
屋外に置いたプラスチックが年数とともに脆くなるように、外壁表面も紫外線、熱、雨風を受け続けています。

そしてサイディング本体だけではなく、シーリング、目地、小口なども一緒に見なければいけません。
表面の色が残っていても、目地側では水を多く含んでいることがあります。
逆に築年数が経っていても、まだ十分に健全なサイディングもあります。
だから私は「築10年だから塗る」「高耐候だから20年大丈夫」という年数だけの判断はしていません。
今の状態を見て、必要な工事を決めます。


塗料そのものの耐候性や種類については、このページで広げすぎず別ページにまとめています。
サイディング外壁塗装のまとめ
サイディング外壁は、商品名や築年数だけで塗装方法を決められるものではありません。
難付着なのか。水分をどれくらい含んでいるのか。小口だけ数値が高くなっていないか。反りがどこまで進んでいるのか。表面は荒れているのか。1回目の下塗りをどれくらい吸い込むのか。
藤原ペイントでは、こうした状態を実際に見ながら施工方法を変えています。
現在はサイディングの1回目に水性パーフェクトシーラーを塗り、その後の吸い込みと表面状態を確認します。
吸い込みが激しければ水性パーフェクトシーラーを重ねる。表面が荒れていればパーフェクトサーフ。両方必要なら、下塗りだけで3工程になることもあります。
含水率も表面だけではなく、目地側の小口まで測ります。
反りがあれば何でもビスで押さえるのではなく、水分の状態とボードの傷みを見ます。塗装で守れる状態なら塗装する。ボードが水を含んでふわふわするほど弱っていれば、張り替えを考える。
サイディングを長持ちさせるために一番大事なのは、塗料を決める前に、今のサイディングがどういう状態なのかをきちんと見ることです。
