外壁塗装や屋根塗装を姫路市や兵庫県南西部でご検討されているお客様から、「水性塗料は水で薄めるのに、雨にぬれても大丈夫なんですか?」と聞かれることがあります。
「水性」という名前から、水に弱い塗料をイメージされるのだと思います。
しかし、水性塗料は乾燥して塗膜が形成された後まで水に弱いわけではありません。正しい条件で施工し、しっかり乾燥させれば、外壁や屋根を雨や紫外線から守る塗膜になります。
塗装をしている私たちが実際に注意しているのは、「雨にぬれるかどうか」よりも「いつ雨にぬれるのか」です。
塗った直後や、まだ乾燥が十分ではない状態で雨にあたれば、塗料が流れたり、ツヤが引けたり、白っぽくなったりすることがあります。一方、必要な乾燥時間を確保し、塗膜として安定した後であれば、通常の雨を過度に心配する必要はありません。
私たちが毎日現場で気をつけているのが天気です。特に夏場は、朝は晴れていても急にゲリラ豪雨が降ることがあります。
藤原ペイントでは、前日の夜に翌日の天気予報を確認し、例えば翌日の夕方に雨予報が出ていれば、無理に塗装作業を行わず、倉庫の片付けなどをして次の晴れの日に備えることがあります。
もちろん朝にも確認しますし、現場でも休憩のたびにスマートフォンで天気予報や雨雲の動きを確認しながら作業しています。
「今は晴れているから塗る」のではなく、塗った後に十分な乾燥時間を確保できるのかまで考えて、その日の工程を決めています。
水性塗料とは

水性塗料とは、水を主な希釈材として使用する塗料です。
溶剤形塗料のようにシンナーを主な希釈材として使用しないため、施工中のにおいが比較的少なく、現在では住宅の外壁にも多く使用されています。
ただし、「水で薄める塗料=乾いた後も水に溶ける」と考えると、水性塗料の仕組みを誤解してしまいます。
塗った直後の水性塗料には水分があります。その水分が蒸発していく過程で、塗料に含まれる樹脂などがつながり、外壁表面に連続した塗膜を形成していきます。
水性塗料は、この塗膜がきちんと形成されて初めて、本来の性能を発揮します。
ですから、私たち職人からすると「水性塗料は雨に弱いですか?」という質問に対しては、単純に「弱い」「強い」と答えるのではなく、乾燥前なのか、乾燥した後なのかによって全く話が違うと考えています。
乾燥前の水性塗料は雨や結露の影響を受けやすいですが、適切に乾燥して塗膜になった後であれば、住宅用の外壁塗料として雨から建物を守る役割を果たします。
雨に注意するタイミング
水性塗料で最も雨に注意しなければならないのは、塗装直後から塗膜が安定するまでの時間です。
まだ塗料に水分が残っていて、塗膜として十分に形成されていない状態で雨にぬれると、塗料が流れたり、雨筋が残ったり、色ムラやツヤムラが発生したりすることがあります。
場合によっては白っぽくなったり、塗膜の密着や仕上がりに影響したりすることもあります。
これは「水性塗料だから雨に弱い」というよりも、まだ塗料から塗膜へ変わっている途中だからです。
現場では、塗り終わった瞬間だけを見ることはありません。
例えば昼間は晴れていても、夕方から急激に気温が下がる日は結露することがあります。また、南面はよく乾いていても、日が当たりにくい北面や建物同士の間では乾燥が遅れていることがあります。
同じ家、同じ塗料、同じ日に塗っていても、場所によって乾き方が違うことは珍しくありません。
これは長く塗装をしていると非常によく分かる部分です。
そのため私は、天気予報で「雨マークがない」というだけで施工できるとは考えていません。
その日の湿度や気温、塗り始める時間、日当たり、風通し、夕方の気温低下、次に雨が降るまでの時間まで見て判断します。
雨の日に塗装しない理由
外壁塗装では、基本的に雨が降っている中で塗装は行いません。
理由は単純に作業がしにくいからではありません。
外壁がぬれている状態で塗装すると、塗料と下地の間へ水分を閉じ込める可能性があります。塗料が本来必要としている密着性を確保できず、後から膨れや剥がれにつながることもあります。
雨粒が塗ったばかりの面へ直接当たれば、仕上がりそのものも乱れます。
また、塗料には施工できる気温や湿度などの条件があります。
一般的な建築用塗料では、気温5℃以上、湿度85%未満が施工条件として示されているものが多くありますが、私はこの数字だけを見て施工できるかどうかを決めるものではないと考えています。
例えば気温が5℃を少し上回っていたとしても、冬の早朝は外壁そのものがかなり冷えています。
また、湿度が基準以内でも、夕方に気温が下がれば外壁表面に結露する可能性があります。
「基準を満たしているから塗る」のではなく、その後きちんと乾燥できるのかまで考えることが大切です。
藤原ペイントでは、塗料を塗ることよりも、塗った後に正常な塗膜へ仕上げることを重要視しています。
中塗り後に雨が降った実際の現場
雨が降ったからといって、必ず施工した塗膜が失敗しているわけではありません。
大切なのは、塗装してから雨が降るまでの時間と、その時点でどこまで塗膜が形成されていたかです。
姫路市網干区のH様邸では、中塗りを施工した後に雨が降りました。
このときも、雨が止んだからすぐ上塗りをすることはせず、丸1日乾燥させ、状態を確認してから上塗り塗装を行いました。

こういうときに重要なのは、工期を取り戻すために翌朝すぐ作業を進めることではありません。
雨でぬれた塗膜と下地が十分に乾燥しているかを確認してから次の工程へ進むことです。
工期が1日延びても、私はその方が良いと思っています。
雨が降った場合は乾いてから確認します
塗装工事中に予想していなかった雨が降ったからといって、必ずすべて塗り直しになるわけではありません。
大切なのは、塗装してから雨が降るまでに何時間経過していたか、どの程度乾燥していたか、雨量はどれくらいだったか、実際の塗膜に異常が出ているかを確認することです。
ここで慌てて、ぬれている塗膜を触ったり、すぐに補修したりするのも良くありません。
雨にぬれた外壁は色が濃く見えますし、ツヤの見え方も変わります。その状態では正常なのか異常なのか判断しにくいからです。
まず十分に乾かしてから確認します。
乾燥後に、塗料が流れた跡、白っぽい跡、ツヤムラ、膨れ、べたつきなどが残っていないかを確認します。
異常が確認できれば、その部分の状態に合わせて補修や再塗装を行います。
私は、塗装工事では「雨が降ったかどうか」だけではなく、雨が降った後に職人がきちんと状態を確認することの方が重要だと考えています。
乾燥時間はメーカーの数字だけでは判断しません
水性塗料の乾燥時間は「○時間待てば必ず大丈夫」というほど単純ではありません。
塗料メーカーの仕様書には乾燥時間や塗り重ね可能時間が記載されています。
もちろんメーカーが定めている施工仕様と乾燥時間を守ることが基本です。
しかし、外壁塗装を20年以上続けていますと、メーカーの最短乾燥時間だけではなく、実際の現場条件まで見なければいけないとつくづく感じます。
住宅の外壁は、試験室のように温度や湿度が一定ではありません。
気温、湿度、風通し、日当たり、塗布量、外壁材の状態などによって乾き方は変わります。
同じ住宅でも、南面と北面では乾燥速度が違います。日なたと日陰、風の通る場所と通らない場所でも違います。
例えばメーカーが定める塗り重ね可能時間を経過していたとしても、その日の気温や湿度、塗装した時間、その後の天候を考えず、同じ日のうちに次の工程まで急いで進めることはしません。
表面だけが乾いて見えていても、塗膜内部まで十分に安定していない状態で次の塗装を重ね、さらにその後雨や結露の影響を受ければ、ツヤ引けや密着不良、塗膜の膨れ・剥がれなどにつながるリスクがあります。
だからこそ藤原ペイントでは、外壁塗装を基本的に1日1工程で施工しています。
1日1工程にしている理由
例えば中塗りを行ったその日に、そのまま上塗りまで終わらせるような工程は組みません。
一晩しっかり乾燥させ、翌日に状態を確認してから次の工程へ進みます。
塗料メーカーが示している最短の塗り重ね時間だけを見れば、同じ日に次の工程へ進める条件もあります。
しかし、「塗り重ね可能な時間になった」と「今ここで上塗りをするのが一番良い」は同じではありません。
仮に午後から中塗りを行い、最短の塗り重ね時間だけを見て夕方に上塗りをすれば、その後は気温が下がり、夜露や結露の影響も受けやすくなります。
さらに急な雨が降れば、十分に形成されていない塗膜へ負担をかける可能性があります。
工事を1日早く終わらせることより、塗膜を正常に乾燥させることの方が大切です。
私は長く塗装を続けてきたからこそ、乾燥時間には余裕を持たせる方を選んでいます。
下地がぬれていれば塗料が良くても意味がありません
水性塗料が雨に対して本来の性能を発揮するためには、塗料そのものだけでなく、塗る前の下地が非常に重要です。
外壁にチョーキング、汚れ、カビ、コケ、浮いている旧塗膜などが残っている状態では、新しい塗料が十分に密着できません。
ひび割れやシーリングの劣化があれば、それぞれに必要な補修も行う必要があります。
そのため外壁塗装では、高圧洗浄、旧塗膜の処理、ひび割れ補修、シーリング工事、ケレンなど、塗る前の工程が非常に大切です。
高圧洗浄後も同じです。
表面が乾いているように見えていても、ひび割れ部分や目地、日陰などに水分が残っている場合があります。
私は、高圧洗浄をした翌日だから機械的に塗装を始めるのではなく、実際の外壁の状態を確認します。
お客様から最後に見えるのは上塗りですが、その上塗りが長く正常な状態を保てるかどうかは、その下で何をしたかにも大きく左右されます。
水性塗料は雨に弱いのではなく施工条件が大切です
水性塗料は、乾燥する前の雨や結露には注意が必要ですが、十分に乾燥して正常な塗膜になった後まで雨に弱い塗料ではありません。
私が水性塗料を施工するときに重要だと考えているのは、「水性か油性か」という名前だけではありません。
その塗料が施工する外壁に適しているか。
下地がきちんと整っているか。
気温や湿度に問題がないか。
このあと雨が降らないか。
十分な乾燥時間を確保できるか。
そして翌日に正常な状態になっているか。
こうした条件を確認して、一つひとつ工程を進めることが大切です。
藤原ペイントでは、基本的に1日1工程で施工し、塗り重ねる場合も十分な乾燥時間を取ってから次の工程へ進めています。
前日の夜から天気を確認し、施工中も天候の変化を確認します。
雨の可能性が高ければ、無理に塗りません。
雨が降れば、必要な時間をかけて乾かします。
工事を早く終わらせることよりも、塗料が本来の性能を発揮できる状態で施工することを優先しています。
水性塗料を選ぶ際も、「水性だから雨に弱いのでは?」と心配するより、その塗料を誰が、どのような天候判断をして、どれだけ乾燥時間を確保しながら塗るのかを見ていただくことの方が大切だと思っています。
