屋根遮熱塗装の効果とは?

夏になると「2階だけ特に暑い」「夕方になっても部屋の熱が抜けない」と感じる住宅があります。

実は私の自宅も1981年に建った少し古い家で、断熱性能が高い住宅ではありません。

天井裏にも十分な断熱材が入っていなかったため、夏は屋根からの熱の影響を受けやすい家でした。

現在は屋根に遮熱塗装をしており、真夏でも屋根表面を裸足で歩けるくらいまで表面温度が抑えられています。

一方で、断熱材が十分ではない状態そのものが変わったわけではありません。そのため冬になると、天井側から冷気を感じて非常に寒くなります。

この経験からも、私は「遮熱塗装をすれば住宅の暑さや寒さがすべて解決する」とは考えていません。

遮熱塗装ができるのは、太陽光による屋根表面の温度上昇を抑え、屋根から建物へ入ってくる熱を少なくすることです。

住宅の室内環境には、屋根だけでなく、断熱材、小屋裏の換気、窓、建物の構造なども関係します。

だからこそ私は、単に「遮熱塗料を塗りましょう」とおすすめするのではなく、その家で暑さの原因になっているものは何なのかまで考えることが大切だと思っています。

屋根遮熱塗装とは?

屋根遮熱塗装とは、太陽光のうち熱の原因となる近赤外線を効率よく反射する塗料を屋根へ施工し、屋根表面の温度上昇を抑える方法です。

一般的な屋根塗料にも太陽光を反射する性質はありますが、遮熱塗料は近赤外線をより効率よく反射するよう設計されています。

ここで勘違いしてほしくないのは、遮熱塗料そのものが冷たくなるわけではないということです。

屋根へ入ってくる熱をゼロにするのではなく、太陽光を反射することで屋根材が受ける熱を減らすのが遮熱塗装です。

私が屋根塗装をご説明するときも、「室内温度が必ず○℃下がります」という説明はしません。

同じ遮熱塗料を使用しても、屋根材、屋根色、断熱材、小屋裏の状態、日当たり、換気などによって住宅内部への影響は変わるからです。

実際の屋根で表面温度を比較しました

遮熱塗装の効果については、カタログの数値だけではなく、実際の現場でも違いを確認しています。

姫路市広畑区のK様邸で屋根遮熱塗装を施工した際、下塗り2回目まで施工した屋根の表面温度を測定すると44.2℃でした。

姫路市広畑区K様邸の屋根遮熱塗装で表面温度44.2度を測定
姫路市広畑区K様邸。屋根遮熱塗装の下塗り2回目施工時に表面温度44.2℃を確認。

その同日・同時間帯に、隣のお家の屋根表面温度も測定したところ80.2℃でした。

同日同時間帯に測定した隣家の屋根表面温度80.2度
K様邸と同日・同時間帯に測定した隣家の屋根表面温度は80.2℃でした。

同日・同時間帯の測定なので、日射や外気温の条件は近い状態で比較できています。

ただし、屋根材、屋根色、既存塗膜、屋根の向きや勾配などまで完全に同じ条件ではありません。

そのため、この36.0℃の差すべてが遮熱塗装だけによるものだと断定することはできません。

それでも、実際の施工現場で同日・同時間帯に測定し、遮熱仕様にしたK様邸の屋根表面温度が大きく抑えられていたことは確認できました。

私自身が屋根の上で作業していても、遮熱下塗りを施工した後は、施工前との表面温度の違いを体で感じることがあります。

屋根が暑くなる原因

夏の屋根が暑くなる大きな原因は、屋根材が太陽光のエネルギーを吸収するためです。

吸収されたエネルギーは熱へ変わり、屋根材の温度を上昇させます。その熱の一部が小屋裏側へ伝わり、さらに天井を通して室内へ伝わります。

ただし、「濃い屋根だから必ず暑い」「金属屋根だから必ず暑い」と単純に判断することはできません。

屋根材、色の日射反射率、断熱材、小屋裏の広さ、換気などによって室内への熱の伝わり方は変わります。

実際に住宅を見ていても、同じような屋根であっても、建物のつくりは一軒一軒違います。

そのため、2階が暑いという理由だけで遮熱塗装をすすめるのではなく、まず屋根と小屋裏を含めた住宅の条件を見ることが大切だと考えています。

遮熱塗装だけでなく小屋裏の熱を逃がすことも大切です

私たちが実際に屋根の上で作業していて、もうひとつ重要だと感じているのが「屋根の棟に換気があるか」です。

多くの住宅では、外壁や軒天井などに通気口があります。

しかし、屋根の最も高い位置にある棟部分から熱気を逃がす換気棟が付いていない住宅も少なくありません。

暖かい空気は上へ上がります。

軒天井などから空気が入っても、屋根裏の一番高いところに出口がなければ、熱気が小屋裏上部へ溜まりやすくなります。

せっかく屋根の表面温度を遮熱塗装で抑えても、小屋裏へ入った熱を逃がす場所がなければ、熱ごもりが起こりやすくなります。

そのため藤原ペイントでは、住宅のつくりを確認し、換気棟がない場合には、遮熱塗装とあわせて換気棟金物をご提案することがあります。

住宅条件によって効果は変わりますが、遮熱塗装と小屋裏換気を組み合わせることで、室温上昇をさらに抑えられることが期待できます。

私はお客様へ、条件が合う住宅であれば室温が3℃程度変わることも期待できるとご説明することがありますが、すべての住宅で同じ温度差になるわけではありません。

断熱材の状態、屋根面積、窓、日当たり、住宅の構造などによって結果は変わります。

換気棟まで含めて意味のある施工を考えます

藤原ペイントでは、単に遮熱塗装をすることが目的ではありません。

せっかく遮熱塗装をするのであれば、その性能を生かせる住宅の状態をつくることまで考えたいと思っています。

そのため、換気棟金物が必要だと判断した住宅では、お客様が追加費用の高さを理由に諦めなくてもよいよう、できるだけ負担を抑えて取り付けられる形でご案内しています。

目先の工事費だけを見れば、換気棟を付けない方が安くなります。

しかし私は、お客様の立場で考えると、夏場の室内環境やエアコンの使用、今後何年も暮らすことまで含めて考えた方が良いと思っています。

「塗ったから終わり」ではなく、その工事に本当に意味があるのかまで考える。

これが藤原ペイントの遮熱塗装の考え方です。

屋根表面温度が下がった分だけ室温が下がるわけではありません

遮熱塗装によって屋根表面温度を抑えられても、その温度差がそのまま室温差になるわけではありません。

住宅には天井や断熱材などがあり、屋根から室内まで熱が伝わる間にはさまざまな条件が関係します。

断熱性能が高い住宅では、もともと屋根から室内へ伝わる熱が少ないため、遮熱塗装による室温への影響が小さい場合があります。

反対に、私の自宅のように断熱性能が高くなく、屋根からの熱の影響を受けやすい住宅では、遮熱による違いを感じやすいことがあります。

遮熱塗装はエアコンの代わりになるものではなく、住宅へ入る熱そのものを屋根側で減らす対策と考えると分かりやすいです。

遮熱塗装で電気代は安くなるのか

屋根から室内へ入る熱が減れば、エアコンにかかる冷房負荷を抑える方向には働きます。

そのため、住宅条件やエアコンの使い方によっては、冷房に使用する電力を減らせる可能性があります。

しかし、「遮熱塗装をすれば電気代が○%下がる」と一律に言うことはできません。

断熱性能、窓の大きさや方角、屋根面積、家族の生活時間、エアコンの性能や設定温度など、電気代には多くの条件が関係します。

私は遮熱塗装を「電気代だけで元を取る工事」と考えるより、もともと屋根塗装が必要な時期に、暑さ対策という機能を追加するという考え方の方が現実的だと思っています。

遮熱塗装こそ下塗りと施工品質が重要です

高性能な遮熱塗料を使用しても、塗り方が悪ければ意味がありません。

私が屋根塗装で重要だと考えているのは、上塗り塗料の商品名より、その塗料が正常な塗膜になる状態をつくってから塗ることです。

屋根には、コケ、汚れ、チョーキング、劣化した旧塗膜などが付着しています。

それらを高圧洗浄などで除去し、ひび割れや傷みがあれば必要な補修を行います。

そして非常に重要なのが下塗りです。

屋根材が劣化して吸い込みが激しい状態では、下塗り材が屋根材へ吸い込まれます。

藤原ペイントでは、下塗りを何回塗ったかではなく、屋根材の吸い込みが止まり、下地がきちんと整ったかを確認します。

必要であれば下塗りを2回行い、その後に中塗り・上塗りへ進みます。

完成すると見えなくなる下塗りや下地処理ですが、私はこうした部分こそ遮熱塗料の性能を生かすために重要だと考えています。

遮熱性能は屋根の色によっても変わります

遮熱塗装では、塗料の商品だけでなく色も重要です。

一般的には明るい色ほど日射を反射しやすく、濃い色ほど吸収しやすい傾向があります。

そのため、同じ遮熱塗料を使用しても、選択する色によって日射反射率は異なります。

「遮熱塗料を選んだから、どの色でも全く同じ遮熱性能になる」というわけではありません。

一方で、屋根は住宅全体の外観にも大きく関係します。

遮熱性能だけを優先して希望していない色にするのではなく、外壁とのバランス、好み、遮熱性能を一緒に考えて決めることが大切です。

屋根遮熱塗装が向いている住宅と注意点

遮熱塗装を検討しやすいのは、屋根が強い日射を受ける住宅や、夏場に2階や小屋裏付近の暑さを感じやすい住宅です。

また、屋根塗装の時期が来ていて、「どうせ塗り替えるなら遮熱性能も付けたい」という場合にも選択肢になります。

ただし私は、屋根を見ずに遮熱塗装をおすすめすることはありません。

屋根材が大きく割れていたり、反っていたり、屋根材そのものが傷んでいたりすれば、塗装が適さない場合があります。

また、暑さ対策が目的なら、遮熱塗装だけでなく断熱や小屋裏換気まで確認した方がよい住宅もあります。

そのため藤原ペイントでは、「何を塗るか」の前に「現在の屋根と住宅がどうなっているか」を見ることを大切にしています。

屋根遮熱塗装で大切なのは塗料より施工全体です

屋根遮熱塗装は、太陽光による屋根表面の温度上昇を抑えるための有効な方法のひとつです。

しかし、遮熱塗料という名前だけで工事の良し悪しが決まるわけではありません。

屋根の状態を確認する。

汚れや傷んだ旧塗膜を処理する。

屋根材に適した下塗りを行う。

必要であれば下塗りを重ねて下地を整える。

メーカーが定める塗布量や乾燥時間を守る。

小屋裏に熱がこもる住宅なら換気についても考える。

そして各工程が正常に仕上がっていることを確認してから次へ進む。

私は、この一つひとつを考えて初めて、高性能な遮熱塗料を使う意味があると思っています。

藤原ペイントでは、屋根塗装についても基本的に1日1工程とし、塗ったその日に工程を急いで重ねるのではなく、乾燥時間を確保して施工しています。

塗装をすることにより、その住宅にとって意味のある施工をする。

遮熱塗装でも、この考え方を大切にしています。

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