屋根は住宅の中でも、紫外線や雨、風の影響を直接受け続ける部分です。
焼き物の瓦や天然石の瓦などを除き、屋根材によっては塗装によるメンテナンスが必要になってきます。
塗装が必要な屋根材のなかでも、私が実際にお見積もりへ伺った際によく目にするのが「カラーベスト」です。
2006年には重量0.1%を超えるアスベスト(石綿)を含む製品の使用などが原則禁止されました。その前後に使用されたノンアスベストの屋根材の中には、製品や現在の劣化状態によって、塗装による維持が難しいものもあります。
実際に屋根を確認すると、屋根材そのものがもろくなっていて、塗装をしても十分な維持が期待できず、カバー工法や葺き替えを検討した方がよいケースがあります。
カバー工法でよく使用されるのが、軽量なガルバリウム鋼板などの金属屋根材です。
ただし、金属屋根も紫外線や雨風の影響を受け続けます。そのため年月が経過すれば、塗膜や板金部分などに少しずつ変化が現れます。
私は屋根を見るとき、最初から「何を塗るか」を決めるのではなく、現在の屋根がどのような状態なのか、そして本当に塗装する意味がある屋根なのかを確認することが大切だと考えています。
屋根のリフォームとは?
屋根のリフォームには、塗装だけでなく、部分補修、カバー工法、葺き替えなどさまざまな方法があります。
どの方法が適しているかは、現在の屋根材と劣化状態によって変わります。
塗装は、既存の屋根材を残し、その表面へ新しい塗膜を形成して保護する方法です。
カバー工法は既存屋根の上へ新しい屋根材を施工する方法、葺き替えは既存の屋根材を撤去して新しい屋根へ交換する方法です。
ここで大切なのが、塗装は傷んだ屋根材そのものを新品へ戻す工事ではないということです。
軽微なひび割れなどを補修したうえで塗装できる状態なら塗装を検討できますが、屋根材そのものの劣化が大きければ、上から高性能な塗料を塗っても根本的な解決にならない場合があります。
私は屋根を見るとき、「塗装できるか」だけではなく、「この屋根を今後も塗装で維持していくことが適切なのか」まで考えて判断することが大切だと思っています。
屋根塗装が必要になるタイミング
屋根塗装の時期について「10年が目安」と言われることがあります。
確かに年数は点検を考えるひとつのきっかけになりますが、私は10年経ったから塗る、という判断はしていません。
ただ、私がこれまで実際に見てきたカラーベストでは、築10年を過ぎる頃になると、程度の差はあっても表面の劣化が進み、下塗り材の吸い込みが大きくなっていることが非常に多いです。
同じ築年数でも、屋根材、以前使用した塗料、日当たり、屋根の勾配、周辺環境、前回の施工状態などによって劣化の進み方は違います。
見るべきなのは現在の屋根です。
色あせ、コケや藻、塗膜の状態、ひび割れ、欠け、反り、金属部分のサビなどを確認します。
「何年経ったか」だけではなく、「今どうなっているか」を見て塗装時期を判断することが大切です。
外壁塗装と屋根塗装は同じように考えません
外壁と屋根は同じ住宅の塗装でも、置かれている環境が違います。
屋根は建物の上部で太陽光や雨を直接受けるため、塗膜にとって非常に厳しい環境です。
夏には表面温度も高くなり、紫外線の影響も受け続けます。
そのため私は、外壁用塗料の耐久性と屋根用塗料の耐久性を、単純に同じ年数として考えません。
また、屋根材によって施工方法も変わります。
カラーベストと金属屋根では、必要な下地処理や下塗り材も同じではありません。
「屋根だからこの塗料」と決めるのではなく、何の屋根材へ、どのような状態で塗るのかを見る必要があります。
外壁と屋根を同時に施工すれば足場を共用できるメリットもありますが、足場代を節約するためだけに、まだ必要のない屋根塗装まで行う必要はないと考えています。
上塗り塗料より先に下地を整えます
屋根用塗料には、シリコン系、フッ素系、無機系などさまざまな製品があります。
一般的には、それぞれ耐候性や価格などに違いがあります。
しかし私は、屋根塗装で大切なのは上塗り塗料のグレードだけではないと考えています。
藤原ペイントでは、上塗りに日本ペイントのグランセラベスト、下塗りにはファインパーフェクトベスト強化シーラーを使用しています。
屋根材が劣化して吸い込みが大きくなっている場合、適切な下塗りで下地を整えなければ、その上へ高耐候の塗料を塗っても本来の性能を発揮しにくくなります。
下地の屋根材を整えるためには、まず下塗りの段階で屋根材へしっかり浸透させ、吸い込みを止める必要があります。
強化シーラーを塗った後は屋根を歩いた感覚まで変わります
藤原ペイントが採用しているファインパーフェクトベスト強化シーラーは、高い浸透性と密着性があり、含浸補強効果も期待できる下塗り塗料です。
私自身、高圧洗浄から下塗り、中塗り、上塗りまで実際に屋根の上で施工しています。
その中で、劣化した屋根へ下塗り材をたっぷり染み込ませ、下地を整えてしっかり乾燥させた後に屋根を歩くと、施工前との違いを感じることがあります。
塗装前は、屋根の上を歩きながら「劣化して弱くなった屋根材が割れてしまうのではないか」と不安に感じることがあります。
ところが、ファインパーフェクトベスト強化シーラーをしっかり含浸させて乾燥させた後は、その不安を感じにくくなることがあります。
これはカタログを読んだだけでは分からない、実際に自分で屋根の上を歩き、塗装してきた中で感じていることです。
下地を整えるために必要な工程
屋根塗装では、「下地を整える」という言葉がよく使われます。
しかし私は、単に高圧洗浄をして下塗りを1回塗れば、それで下地が整ったとは考えていません。
藤原ペイントでは、劣化したカラーベストの場合、主に次のような工程で状態を確認していきます。
- 高圧洗浄
- 必要な部分のケレン作業・補修
- 下塗り1回目で屋根材へしっかり含浸させる
- 下塗り後の状態を確認する
- まだ吸い込みがあれば下塗り2回目で吸い込みを止める
屋根に限らず、私は「下塗りを何回塗ったか」ではなく、「下地がきちんと整ったか」を見ることが大切だと考えています。
下塗りを1回だけ施工し、まだ屋根材に吸い込みが残っている状態で中塗りを行うと、本来は上塗り塗膜を形成するための中塗りまで下地へ吸い込まれてしまうことがあります。
その状態で仕上げの上塗りを施工し、「下塗り・中塗り・上塗りの3回塗りだから完成」と考えるのは、私の塗装の考え方とは違います。
築10年を過ぎたカラーベストは4回塗りになることも多くあります
私はこれまで多くのカラーベストを実際に塗装してきましたが、築10年を過ぎた屋根では、劣化による吸い込みが大きく、下塗りを2回施工することが非常に多くあります。
その場合は、
下塗り1回目 → 下塗り2回目 → 中塗り → 上塗り
という合計4回塗りになります。
ただし、最初から「必ず4回塗る」と回数を決めているわけではありません。
1回目の下塗り後に屋根材の状態を確認し、まだ吸い込みがあるのであれば、下地が整うまで下塗りを行う。
これが藤原ペイントの屋根塗装の考え方です。

遮熱塗料という選択肢

屋根塗装では、遮熱性能を持つ塗料を選ぶ方法もあります。
遮熱塗料は、太陽光のうち熱の原因となる近赤外線を効率よく反射することで、屋根表面の温度上昇を抑えるよう設計された塗料です。
ただし私は、お客様へ「遮熱塗料を塗れば室内が必ず涼しくなる」「電気代が必ず安くなる」とは説明していません。
屋根から室内へ伝わる熱には、屋根材だけでなく、断熱材、小屋裏の換気、建物の構造、日当たりなども関係するからです。
もともと屋根塗装が必要な時期に、塗料選びのひとつとして遮熱性能を加える。
私はこのような考え方が現実的だと思っています。
塗装できない屋根は無理に塗りません
屋根のリフォームを考えるうえで非常に大切なのが、「その屋根は本当に塗装で維持できる状態なのか」という判断です。
カラーベストの中には、製品や経年劣化の状態によって、屋根材そのものが著しくもろくなっているものがあります。
割れや欠けが多い、屋根材自体の強度低下が大きいなど、塗装では十分な維持が見込めない場合、私は無理に塗装をおすすめしません。
その場合は、既存屋根の状態に応じてカバー工法や葺き替えを検討した方がよいことがあります。
塗装屋だから何でも塗装するのではなく、塗装で維持するべき屋根なのか、別のリフォーム方法を選ぶべき屋根なのかを最初に判断することが大切です。
屋根塗装は見えなくなる下地ほど大切です
屋根塗装が完成すると、お客様から見えるのはきれいになった屋根です。
しかし、その下にある下塗りを何回施工したのか、屋根材への吸い込みが止まっていたのか、十分に乾燥させてから次の工程へ進んだのかは、完成後にはほとんど分かりません。
藤原ペイントでは基本的に1日1工程で施工し、それぞれの塗膜を十分に乾燥させてから次の工程へ進みます。
私は、こうした完成すると見えなくなる工程ほど、屋根塗装では大切だと思っています。
高価な上塗り塗料を使うことより先に、今ある屋根材を確認して、必要な下地処理をして、下塗りでしっかり整える。
そして十分に乾燥させてから、次の塗膜をつくる。
屋根塗装は「何を塗ったか」だけではなく、「何に、どのように塗ったか」で考えることを大切にしています。
